教育業界で事業を展開したいと考える方々にとって、フランチャイズ(FC)塾の買収は魅力的な選択肢の一つです。
既存のブランド力やノウハウを活用できるため、初めて塾を運営する人にとっても手を出しやすい方法です。しかし、FC塾の買収には注意すべきポイントがあります。以下に3つの理由を挙げ、それぞれを詳しく説明します。
1. フランチャイズ料とロイヤリティ
フランチャイズ塾の一番のデメリットは、フランチャイズ料とロイヤリティです。加盟する際には高額な初期費用が発生し、また運営していく中で売上の一部を本部に支払う必要があります。これらの費用が思っている以上に高額である場合があり、利益率を大幅に下げる可能性があります。
フランチャイズ加盟でかかってくる費用目安
初期費用は、フランチャイズ契約を結ぶ際にフランチャイザーに支払う費用で、一般的には加盟申込時または加盟承認時に全額支払います。
この初期費用は、フランチャイズブランドの使用権、教育・研修、マニュアルの提供などに対する費用とされています。
次に、ロイヤリティは、定期的に(例えば毎月)フランチャイザーに支払われる使用料です。これは売上に対する一定の割合であることが一般的ですが、固定額である場合もあります。
また、開業に際しては、店舗の設備費や内装費、初期の教材費、広告宣伝費なども必要となります。これらは、具体的な金額を出すのが難しいですが、数百万円以上は見込んでおくべきでしょう。
M&Aサイトにはフランチャイズの塾の買収案件が溢れている
M&Aサイトを見ていると、個人塾の売却案件がいくつも並んでいます。
独立型の非フランチャイズの塾の案件に比べると、フランチャイズの案件数がとても多いのが現状です。
そこから個人的に以下の2つの理由が考えられるかなと思っています。
- 知名度を利用したとしても、塾運営をしても利益的には厳しいという現実
- 初期費用(フランチャイズ加盟費用)の大金を売却によって少しでも回収したい
実際自分が塾経営をしてみて思ったのは、利益率というのは他の業界に比べてそこまで良くないと思っています。
なので、売上から毎月のロイヤリティを出すのはよほどの勝算がないと厳しいと個人的には考えています。
2. 経営の自由度の制限
フランチャイズ塾は、教育プログラム、授業料、宣伝方法など、経営に関する多くの部分で本部の方針に従う必要があります。そのため、オーナー自身のビジョンを具現化する自由度が独立した塾に比べて低いです。
私の場合は、塾で面談をして生徒や保護者の要望が多い英検対策のカリキュラムを新規導入したりしています。実際塾を経営してからわかるニーズに応えられるのも、独立系の塾の強みだと実感しました。
3. ブランドイメージの影響
フランチャイズ塾は本部が提供するブランドイメージに依存しています。これは一見するとメリットにも思えますが、本部のスキャンダルや他の加盟店の不祥事など、自分の経営とは無関係な出来事でブランドイメージが傷つくと、それが直接自分の経営にも影響を及ぼすことになります。
まとめ
以上のように、フランチャイズ塾の買収は見た目以上にリスクを伴うものです。しかし、それらのリスクを理解し、適切に対策を講じれば、成功する可能性も十分にあります。必ずしもフランチャイズ塾が悪いというわけではなく、ビジネスモデルと自分の経営スタイルが合致しているかどうかをよく考えることが重要です。